経営の継続性を維持するためにはどのようにしたら良いのか?
透析マネジメント / 櫻堂渉のコラム / No.5 経営の継続性を維持するためにはどのようにしたら良いのか?

【2006年12月 No.5】
診療報酬の削減に加え、新規患者数が減少している透析市場において、経営の継続性を維持していくには、どのような方針で望めばよいのだろうか。以下にそのポイントを示す。
まず、リーダー自身が情報収集に努めるべき。市場の動向に敏感にならない限り、経営の持続性が保証される可能性が低い。
透析医療機関には、
という4つの課題がある。
これらを突き詰めて考えていくと、「経営効率の向上」と「医療の質の向上」に集約できる。この2つを同時に達成することが、透析施設経営の要諦となる。
経営を効率化させる手段には、さまざまな手法がある。購入物品を安価に仕入れる、物品の使用量を削減する、スタッフの残業量を減らすなど、直接的な費用の削減が一般的な方法だ。
しかし、多くの医療機関では、これらは既に実施済みだろう。さらに極限まで強化するようでは、必要な処置や投薬、検査を行わないなど、逆に医療の質を著しく低下させることにつながってしまう。費用と質のトレードオフは決して許されない。
一方、透析医療機関の運営にかかわる費用のなかで、もっとも大きいのは人件費だ。これまで透析医療機関は、暗に人件費削減という道を避けてきた。「人件費削減=質の低下」と捉えていたからだ。
しかしこの考え方は正しいとは言えない。正確には、「運営システムを一定とし、職員一人ひとりの能力を勘案しないで
人員を削減すると質が下がる」と、言うべきである。私が以前に実施した調査では、規模が同程度の2つの透析医療機関における患者一人1ヵ月あたりの利益額に、約2倍、4万77000円もの差が生じていたことがあった。さまざまな原因が考えられたが、その最大の原因は、両院の人件費の差にあった。
もっとも人件費を適正化し、利益の差を生むのは、透析の業務システムの違いにあることを、経営幹部は理解しなくてはならない。同じ結果を得るために必要とされる労働力は、施設によって異なるが、この差は、システムの優劣によって生じることを認識すべきだ。とは言え、システムの変更や検討ほど、総論で合意されていながら、各論で実行不能なものもない。
システムとは、組織の生活習慣。“なるべきしてなった” ものであるため、習慣を変えるには、相応の努力が必要となるが、その鍵は人材マネジメントにある。
(CLINIC BANBOO 2006年9月号掲載記事より)